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浦和地方裁判所 昭和48年(わ)1078号 判決

本店所在地

埼玉県草加市中央一丁目一番一八号

商号

株式会社 小勝観光会館

右代表者代表取締役

小勝清吉

本籍

東京都台東区東浅草二丁目四番地六

住居

同都足立区竹ノ塚二丁目二九番二号

会社役員

小勝正雄

大正一〇年七月一五日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件につき当裁判所は検察官伊藤実出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社小勝観光会館を罰金八〇〇万円に、被告人小勝正雄を懲役一〇月に各処する。

但し、被告人小勝正雄に対し、本裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社小勝観光会館は、埼玉県草加市中央一丁目一番一八号に本店を置き、宅地建物取引業および料理、飲食業等を目的とする資本金一、〇〇〇、〇〇〇円の株式会社、被告人小勝正雄は、被告人会社の代表取締役として、その業務全般を統括していたものであるところ、被告人小勝正雄は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空支払手数料、架空支払利息および架空工事費などを計上し、不動産売上げの一部を除外するなどの行為により、所得の一部を秘匿したうえ、

第一  昭和四四年九月一日から同四五年八月三一日までの事業年度において、被告人会社の実際所得金額が四二、八二五、九六一円で、これに対する法人税額は一五、四七五、六〇〇円であるのにかかわらず、同四五年一〇月三一日、川口市青木町一丁目二一〇番地川口税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二一、一六四、九二一円で、これに対する法人税額は、七、五一五、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税額七、九六〇、四〇〇円を免れ

第二  昭和四五年九月一日から同四六年八月三一日までの事業年度において、被告人会社の実際所得金額が一二三、〇〇六、二四九円で、これに対する法人税額は四三、八七八、七〇〇円であるのにかかわらず、同四六年一一月三〇日、前記川口税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五三、〇〇四、七〇九円で、これに対する法人税額は一八、一六八、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税額二五、七一〇、七〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人会社代表者小勝清吉および被告人小勝正雄の当公判廷における各供述

一、被告人小勝正雄の検察官に対する供述調書三通(昭和四八年一〇月一日付のものは上申書、領収証写、簿外経費一覧表等添付)

一、前田典一(集計表、試算表一、二等添付)、藤枝昌子、清水正已、阿部正、清水勝政、川崎重雄、鈴木正一、寺尾和夫、竹内重男(帳簿写添付)、桑島直一、内山享二(二通)、村越洋一、武内武志(二通)、鈴木弁治、盛林利和、小勝清吉、小勝志ず江(質問てん末書添付)の検察官に対する各供述調書

一、佐伯安(二通)の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、前田典一作成の答申書

一、川口税務署長作成の証明書二通(いずれも添付書類を含む)

一、国税査察官作成の期末売掛金ならびに同貸倒金調査書

一、大蔵事務官作成の架名預金調査書

一、登記官作成の登記簿謄本七通(昭和四八年四月一七日付一通、同月一一日付六通)

一、登記申請書写三通

一、大蔵事務官作成の差押てん末書二通

一、大蔵事務官作成の領置てん末書三通

一、押収にかかる元帳二綴(昭和四九年押第一四二号の一、二)決算関係書類四綴(同号の三ないし五、一一)領収書三綴(同号の六、一二、一四)、売掛台帳一綴(同号の七)、売掛帳一綴(同号の八)、領収書五枚(同号の九)、不動産売買関係書類一綴(同号の一〇)、土地売買契約書一通(同号の一三)、メモ一枚(同号の一五)、不動産関係綴一綴(同号の一六)、四六年度分確定申告書写一通(同号の一七)

(確定裁判)

被告人小勝正雄は昭和四八年六月二八日東京地方裁判所において売春防止法違反の罪により懲役一年六月(および罰金三〇万円、懲役刑につき五年間執行猶予)に処せられ、右裁判は同年七月一三日確定したもので右事実は被告人小勝正雄の当公判廷における供述、検察事務官作成の昭和五〇年四月二五日付前科調書によつて認める。

(法令の適用)

被告人会社の判示第一、第二の各所為は法人税法一六四条一項、一五九条一項に該当するが以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告人会社を罰金八〇〇万円に処し、被告人小勝正雄の判示第一、第二の各所為は法人税法一五九条一項に該当するので所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は前記確定裁判のあつた罪とは刑法四五条後段により併合罪の関係にあるから、同法五〇条によりまだ裁判を経ていない判示各罪につきさらに処断することとし、なお右の各罪もまた同法四五条前段により併合罪の関係にあるから、同法四七条本文、一〇条により犯情重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、所定刑期の範囲内で被告人小勝正雄を懲役一〇月に処し、情状により同法二五条一項により同被告人に対し、本裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 中野保昭)

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